お知らせ
インフルエンザに御注意
-ワクチン接種のすすめ-
毎年12月になると、多かれ少なかれインフルエンザが流行します。インフルエンザの潜伏期は1~2日と短く、家庭内で一人がインフルエンザにかかりますと、家族が次々にかかります。典型的には初期の2~3日間は高熱(39~40度)を出し、悪寒、発汗、頭痛、手足や背中の筋肉痛、ふしぶしの痛みなどが起こり、腹痛や下痢を伴うこともあります。その後、さらに咳、くしゃみ、鼻水、のどや胸の痛みなどもみられます。肺炎などの合併症がなければ、7~10日間で回復します。
このような経過から、インフルエンザを単なる「カゼ」と考えている人が多いようですが、高齢者や乳幼児では重症化してときには肺炎や脳炎を併発し、不幸な事態になることもありますので、注意が必要です。
さて、インフルエンザにかからないようにするには、どうすればよいのでしょうか?インフルエンザウイルスは「のどの粘膜」から人の身体に侵入するので、咳をしている人や、ウイルスが多く排泄されている人混みにはなるべく近寄らないことが重要です。また、のどに付いたウイルスがふえないように、帰宅したらすぐ「うがい」と「手洗い」の習慣を忘れないようにします。十分な睡眠と栄養を心がけて、体を冷やさず、体力を低下させないように規則正しい生活をすることも大切です。
さらに、室内インフルエンザウィルスをふやさないように、インフルエンザウィルスの活動性を沈静化できる加湿器の使用もお勧めします。
次にインフルエンザワクチンについて説明します。先進国で、このワクチンの有効性について議論しているのはわが国ぐらいのものです。米国では、
① | 65歳以上の者。 |
② | 慢性疾患をもつ利用者がいる老人ホーム及び長期療養施設の入所者。 |
③ | 肺及び心血管系の慢性疾患を有する成人ならびに小児(気管支喘息の小児も含む)。 |
④ | 糖尿病を含む慢性代謝性疾患、腎不全、貧血あるいは免疫抑制状態にある者。 |
⑤ | 長期のアスピリン治療を受けている生後六ヶ月から十八歳の者。 |
以外にも、医師や看護婦、養護ホームの職員、さらには妊婦などにもインフルエンザワクチンの接種を勧めているのです。
わが国でのワクチン評価の研究では、現行のインフルエンザワクチンのA香港型に対する感染防御効果は67.5%で、B型に対する効果は43.7%であった、との報告があります。有効率が6割という数字だけで判断すると、接種を見合わせたいという意見も最もです。しかし、重症化した人の中には、ワクチンを受けていた人は一人もいないという事実が重要なのです。
すなわち、インフルエンザワクチンは、インフルエンザに対する感染予防率は6割位ですが、重症化の予防には効果的なのです。ですから、免疫力や体力の低下している高齢者、乳幼児は、積極的にワクチンを受けることをお勧めしますし、こういう人たちに接触して感染させる可能性のある人も接種した方が良いのです。
過去にインフルエンザワクチン接種歴のある場合は、1回接種で良いとされていますが、3月の流行に備えるためには、より長期間持続する抗体レベルを期待して、2~5週間に2回接種法が勧められます。
理想的なインフルエンザワクチンの受け方としては、11月に1回目接種して、年末頃に2回目を接種する方法が最も効果的であると、いえるでしょう。